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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)427号 判決

被告人

牧山常右衞門

外四名

主文

原判決を破毀する

本件を佐賀地方裁判所唐津支部に差戻す。

理由

原判示第一事実は被告人常右衞門、春雄、秀次、杉春間に、第二事実は被告人等五名外一名間に夫々共犯関係ありとして起訴され且つ被告人等五名共同被告人として審理を受けたものであるから共犯者の自白は相互に補強証拠となり得るものであるから原審がその公判廷で述べた被告人等の自白を綜合して判示事実を認定したのはとがむべきではないが当裁判所が職権で調査してみるに、原審は右の証拠等の外「押收に係る第十六南水丸の存在」を証拠の標目として示している。しかるに原審公判調書を精査するも右物件について刑事訴訟法第三百六條の証拠調手続を履踐した証跡がない。しからば、原判決は適法な証拠調を経ない証拠物を証拠とした違法があるのでこの点において原判決は破毀を免れないのである。

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